ISUMIの日記

外資系の企業に就職、現在は北欧に赴任中。

海外で働く際、特に心がけるべき3つのこと

北欧に赴任して早2年ですが、文化の違いに驚くことは良い方にも悪い方にも沢山あります。

今回は、海外で欧州で働く上で特に心がけるべきと感じたこと3点をご紹介します。

 

 

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① 上下関係がない。誰が相手でも、自分の意見を持ち貫き通す。

 

 

欧州の会社でも上司部下の当然関係はありますが、日本のような厳しい上下関係はありません。

 

会議中での議論の活発で、入社数年の新入りだろうと遠慮なく真っ向から意見をぶつけてきます。

上司だろうが部長だろうが関係なく話に割り込み、納得しきるまで自分の意見を曲げません。

 

毎週「そこまで言って委員会」の中に入り込んでいるような気分。

あの中で自分の意見を主張していけるかと考えると、ほとんどの日本人は萎縮してしまうはず。

言語の壁もでかく、頭の中で発言内容を組み立てているうちに、議論の趣旨が移っていってしまうこともしばしば。

 

日本では、おとなしく他人の意見を聞くことに重きを置いた教育を学校で受けてきますが、欧米では真反対。

この辺りの活発な議論をする力、ディベート力には大きな力の差を感じるため、

欧米の大学で学んでおけばよかったなぁと感じる時があります。

 

なんとか食いついていけば1年もしないうちになれますが、

萎縮したまま過ごすと、議論もできないやつと馬鹿にされたまま、ずっと過ごすことになります。

 

 

会議では発言をしないならば欠席しているのと同じ

 

部署に配属になって、先輩に最初に言われた言葉。

どれほどボロクソに言われようが己の考えを曲げずにしゃべり続ける、

図太さと信念の強さを持つ田嶋陽子になった気持ちで臨む必要があります。

 

 

 

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② 謝らない。代わりに原因追求を徹底して予防法を考える。

 

 

欧州の会社で働いていて、Sorryという言葉を聞いたことがほとんどありません。

トイレから出てきた時にドアをぶつけたとか、そんな時ぐらいです。

 

西欧の支社から上がってきた資料、重要なデータなのに計算式にひどい誤りがあり指摘したところ、

そのメールの返信の一行目は、Good catch!!!でした。

え・・・、と最初の数秒の間は唖然としていましたが、

のちに、大きなミスをしても欧州の人間は謝らないことを理解しました。

 

上司も怒ることなく、なぜそうなったのかをどうすれば防げるかの議論にすぐ入る。

日本人は、日常生活においても仕事においても、問題が起きるとすぐに謝る傾向にありますが、

その原因究明や対策がおろそかになりがち。

これまでの日本の外交問題等を見ても、この姿勢って海外と向き合う時はマイナス要素の方が多いのかもしれません。

 

 

 

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③ 合理的な仕事観。プライベートも充実させて、初めて一流。

 

 

入社してまず驚かされるのが、定時が過ぎたら下っ端から帰宅していくことです。

技術職や営業職関係ありません。まず終わりの時間が決まっており、その時間に合わせて仕事を組んでいきます。

 

そのためには、まずやらないことを決め、力を注ぐプロジェクトを選択する。

残業する社員を頑張っていると持ち上げる風習はありません。

むしろ、仕事が遅く自己管理できない烙印を押される可能性もあります。

しっかり時間管理をし、夕方以降は家族サービス等プライベートに使い頭をリフレッシュさせます。

スーパーのパンより美味しい!? クロワッサンの缶詰

会社の同僚に勧められて、パンの缶詰を買ってみた。

スーパーで売っているクロワッサンより美味しいらしい。

 

 

 

350mlほどのサイズ。側壁は紙ベースで内壁がアルミかな。

簡単に破いて開封出来るようになっています。

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中にクロワッサン6個分の、三角形の切れ目が入った生地が入っています。

引きちぎりながらクロワッサンの形に丸めていきます。包丁いらずで意外と簡単。

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巻き上がり。

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缶詰に書いてある説明書通りに、卵黄を塗っていきます。

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200度のオーブンで待つこと15分。いい匂いがしてきたところで出来上がり!

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・・・思っていたより苦かったです。

 

 

 

ではなくて、焦げていました。

敗因は、卵黄の塗りすぎのようです。こんだけ塗ったら焦げるのは当たり前だと。

普通は卵黄を水で溶いて軽く塗る程度でいいらしいです。

 

クロワッサンの生地の缶詰。発想が面白いですね。

青色LED特許訴訟に学ぶ、新入社員の特許との向き合い方

大学の卒業式シーズンのようで、Facebookが卒業写真で埋まっています。

技術者の皆さんもご卒業おめでとうございます。厳しいご時世ですがともに頑張りましょう。

 

入社して数年は専門知識に会社のルールや法律関係など勉強すべきことの多い大変な時期ですが、

業界の常識にとらわれないがために、斬新な発明を量産するチャンスの時期でもあります。

 

技術開発の結果とともに求められるのが知的財産(発明開示、特許など)の執筆です。

特許の数は、社内での評価や追加報酬にも直結するだけでなく、

社会への業績アピールにもなり、技術者として箔をつけていくことができます。

 

 

ノーベル賞を受賞した日亜化学工業青色発光ダイオードの技術においても、

量産化に欠かせない技術の中でも特にハードルが高いと言われているアニーリングによるInGaN p型化技術を発見したのは、

中村さん自身ではなく入社1年目と2年目の新入社員、妹尾氏と岩佐氏であったと言われているのは有名な話。

 

 

この青色LED訴訟を振り返り、入社当時に聞いておきたかった、知的財産との向き合い方を考えたいと思います。

 

 

。。。。

 

 

このアニーリングによるGaN p型化特許は、中村裁判の肝の一つになっていたことで多くの注目を集めていました。

(青色LED製造方法に関する特許の対価が不当であったとして、日亜化学工業200億円の支払いを求めた提訴)

 

このp型化特許は、一連の青色LED製造方法の中で重要な位置を占めていますが、

(量産化に必要であった3つのブレイクスルーの中でも特に実現化のハードルが高いと言われている)

中村氏の貢献度に関して議論の余地があるとされています。

 

 

具体的に説明すると記事が長くなるので他ブログに譲るとして、議論となっている点を端折ると、

 

中村批判記事での主張

p型化は妹尾氏と岩佐氏が実験を行っていたってこと。

・ 自発的な実験で、中村氏の指示を受けて行ったものではない。

 

公開情報(特許)から読み取れる情報

GaNに関するほとんどの特許も論文は、中村さんファーストオーサーで書かれている

・ 妹尾氏の名前は、該当特許に入っていない!!!

 

 

こちらが該当特許

https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM407_ToItem.action

 

多くの中村批判ブログではこの技術開発に中村さんは関与していないと記述されていますが、

特許自体を参照する限り、中村さんと岩佐氏の発明に他なりません。妹尾氏に至っては名前がない!!

はたから公開情報のみを見ると、東京地裁が判断した中村氏の寄与度=50%はなんら不思議ではありません。

また、批判記事には証拠となる具体的なリファレンスが公開されていないので、事実関係はなんともいえないのが実際のところ。

 

 

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もしも記事が事実だったとすると、なぜ連名と貢献者に乖離が生じてしまっているのか。

 

知的財産への申請方法や連名においては、個人の裁量によるところが多いのが現状のようです。

実際開発は複雑に人間が関わり、貢献の度合いは不明瞭な場合が多くなりがちです。

また、一般的なルールが明確になっておらず、会社ごとに連名の範囲も変わってくるようです。

 

誰の成果で、連名は誰まで入れるのか。誰が草案を書くのか。

貢献度はしっかりと反映されているか。ちゃんと自分の名前は入っているのか。

 

特に新入社員には、自分の名前が入るべき事案でも主張を遠慮しがちですが、

苦労して手に入れた成果が、自分のものでなくなっては元も子もありません。

 

 

では、中村さんの元で働いていたエンジニアはどうすればよかったのか。

 

  1. 知財の申請書は時間がかかってでも自分で書く。
  2. 実験ノートに開発の変遷をなるべく細かく記入し、証拠として残す。  (アイディア、議論内容、発言者、時間等)
  3. 普段から自分の権利はしっかり主張し、事前から連盟から除外される事態を防ぐ。

 

 

自分のアイディア、プロジェクトは最後の知財登録まで責任を持って管理することが大切です。

小保方さん問題でも指摘されていましたが、実験ノートは有事の際に非常に有力な物的証拠となります。

 

日々の業務に追われ知財関係は後に回しがちですが、最後の知的財産(発明開示や特許など)登録まで、

まとめ上げることの大切さを肝に銘じておく必要があります。

大学へ論文盗作判別ツール導入!との奮闘記。。。

大学が論文盗作検査を強化

12月あたりから教授が口うるさく、今年から盗用のツールチェックが入るとこあるけど、お前らコピペ大丈夫なんだろうな。自分の論文でもすべて書き直せと、何度も言ってくるので何事かと調べたらこれだった。

 

名大 論文盗用「見抜く」 世界最大データーベースと連携

名古屋大は27日、研究論文の無断引用対策として、世界最大の学術論文データベースを活用したチェックシステムを導入すると発表した。他人の文章などを複写して別の場所に貼り付けるコピー・アンド・ペースト(コピペ)の多用が問題化する中、不正論文の未然防止に乗りだす。
 名大が活用するのは米国の会社が開発した「アイセンティケイト」。販売会社によると、国内では早稲田大に続き2例目で、国立大では初めて。

(2013年11月28日 中日新聞朝刊1面)

剽窃検知・独自性検証ツール iThenticate
「iThenticate」(アイセンティケイト)は、自身の研究成果や著作物の内容を、既存の公開情報(学術フルテキストデータベース)と照合し、独自性を検証するオンラインツールです。論文の発表・公開の前にチェックを行うことで、剽窃や盗作が疑われる箇所を検出し、独自性や新規性に問題がない状態へと改善することが可能です。研究者個人での使用はもちろん、大学、出版社などの組織でも利用できます。(中略)240億を超えるインターネット上のWebページ(アーカイブ含む)や出版物データベースをはじめ、世界最大のDOI登録機関・CrossRef配下でCrossCheck(iThenticate)を利用する出版社のコンテンツなど、豊富な情報源との検証が可能です。
(Assist micro社 HP)

 

論文盗作問題をニュースでよく見かけるようになってきた昨今ですが、他人事ではなくなってきている模様。これまで自分が勉強してきた知識を論文としてまとめる中で、どこまで引用をつけなければいけなくて、どこからが盗作になってしまうのか、ということははっきりとわかっていない。というか、そういう教育って特になかったなぁ。まぁ、潔白な論文を出せるいい機会と考えて、いろいろ調べてみた。。。

 

盗作とオリジナルの境界ってどこ!???  

どの程度の文章が盗作として問題になっているのか。教授ともあろう人が引用先も付けずにもってくるのは考えにくいが。。盗作が社会問題化しているお隣の国韓国の盗作問題の記事に、主なからくりが書いてあった。

 

韓国社会をむしばむ「盗作不感症」

論文の盗作が明らかになったスター講師の金美敬(キム・ミギョン)氏は、修士号取得者の間で広く用いられている典型的な方法で盗作を行った。似たようなテーマで書かれた2-4年前の論文から、古い論文を引用した文章や段落をそのまま書き写すことで、あたかも古い論文を直接参照して書いたかのように偽装するという手口だ。直接の盗用対象となった中間段階の論文の存在を知らなければ、当の論文は古い論文を参照し、きちんとした方法で書かれたもののように見える。しかし中間段階の論文の文章・脚注・引用までそのまま書き写しているのだから、この論文は明らかな盗作だ。金氏は、ある地方大学の教授が1995年に発表した研究論文を書き写すと同時に、その論文を引用した2003年と04年の修士学位論文もそのまま書き写して利用した。ある大学関係者は「アンケート調査、統計などデータだけをこっそり入れ替え、幾つかの論文を巧みにつぎはぎする手法は、主に論文代筆業者の間で用いられる手。特に、社会人生活を送りながら大学院に通う場合、一種の“論文コピー工場”といえる代筆業者に論文を任せるケースが多い」と語った。

(2013/03/22 朝鮮日報)

 

なーるほど、近年書かれた論文の引用個所をコピペして、あたかも該当の文献を読んでいるかのように偽装する手口ですか。まぁ、たしかに使っている人多そう。。。

 

肝心の盗作検査はどのようにして行われているのか

では、盗用対策はどのように行われているのか。調べてみると、米国では70%以上、英国は90%以上の大学(ともに上位100位以内)が、すでに"Turnitin"という盗作チェックプログラムが導入されているとか。

 

盗作検知・文章作成指導ツール Turnitin

240億以上のWebページ、3億件以上の提出済み学生レポート、何千もの学術誌や書籍類…幅広い情報を網羅する独自のデータベースと、学生が提出した論文やレポートの文章を照合し、その類似性をすばやく表示します。不適切なコピペや盗用が疑われる箇所はハイライトされ、類似している既存情報自体もあわせて確認できるため、使用方法が正当かどうかをすぐにチェック可能です。問題がある場合は適切な引用方法などを指導して、学生の意識やスキルの向上につなげられます。

(Assist micro社 HP)

 

米国、英国ではすでに学生レポート段階から、盗用対策が整備されつつあるようですね。このプログラム、カリフォルニア大学バークレー校の博士課程に在籍する学生が作成したってところも驚き。ネットの発達で情報が簡単に集められるようになった一方で盗用が問題になり、その後各国が盗用対策に乗り出していますが、日本は盗用対策という観点では後進国のようです。今後日本でも導入大学が増えていくのでしょうね。

 

盗作検査の対策は何かないのか!??

となると、自分のこれまで書いてきた論文が、どの程度ツールに引っかかるのか気になるところ。いろいろ調べてみると、これまたお隣の国韓国で無料の盗作チェックサービスがありました(日本では見つかりませんでした)。その名も"Copy killer"。

Copykiller (韓国語のサイトです。翻訳しながら使うといいかも)

会員登録のみで利用無料。pdfをアップロードすれば、その文章がどの程度過去の文献とかぶっているのか、数字でたたき出し、さらに該当文とその対応文献を調べてくれるという優れもの。しかも、完全一致から似ている文章まで程度別にも分けてくれます。ためしに自分の博士論文をかけてみると、、、

  

20%超えてました。。。引用文献を書き並べたページがかぶるのは仕方ないとして、式の導出のページが真っ赤っか。上検索対処に先輩の博士論文が入っていたのが致命傷でした。参考にしている物が同じだからなそりゃぁ似るでしょうよ。ちゃんと引用先も明示してるんですけどね。

 

導出を自分なりにまとめ直したら一桁におさまりました。残りはほぼ引用文献です。すべて自分の言葉でまとめ直した方がいいのか、引用はそのままがいいのかは結局正直よくわかりませんでした。引用先を明示しないのが盗作になることは確かです。

 

盗作が問題視され初めて間もない昨今、罪の意識なく盗作を行ってしまっているのが一番怖い。論文は電子版として一生残り、どこからでも見ることが出来るようになっている。後になっていちゃもんつけられないよう、論文を書き終わった後に問題がないか今一度じっくり見直す必要がありそうです。日本もしっかりした講義をはやいとこ整備してほしいですね。