ISUMIの日記

外資系の企業に就職、現在は北欧に赴任中。

大学へ論文盗作判別ツール導入!との奮闘記。。。

大学が論文盗作検査を強化

12月あたりから教授が口うるさく、今年から盗用のツールチェックが入るとこあるけど、お前らコピペ大丈夫なんだろうな。自分の論文でもすべて書き直せと、何度も言ってくるので何事かと調べたらこれだった。

 

名大 論文盗用「見抜く」 世界最大データーベースと連携

名古屋大は27日、研究論文の無断引用対策として、世界最大の学術論文データベースを活用したチェックシステムを導入すると発表した。他人の文章などを複写して別の場所に貼り付けるコピー・アンド・ペースト(コピペ)の多用が問題化する中、不正論文の未然防止に乗りだす。
 名大が活用するのは米国の会社が開発した「アイセンティケイト」。販売会社によると、国内では早稲田大に続き2例目で、国立大では初めて。

(2013年11月28日 中日新聞朝刊1面)

剽窃検知・独自性検証ツール iThenticate
「iThenticate」(アイセンティケイト)は、自身の研究成果や著作物の内容を、既存の公開情報(学術フルテキストデータベース)と照合し、独自性を検証するオンラインツールです。論文の発表・公開の前にチェックを行うことで、剽窃や盗作が疑われる箇所を検出し、独自性や新規性に問題がない状態へと改善することが可能です。研究者個人での使用はもちろん、大学、出版社などの組織でも利用できます。(中略)240億を超えるインターネット上のWebページ(アーカイブ含む)や出版物データベースをはじめ、世界最大のDOI登録機関・CrossRef配下でCrossCheck(iThenticate)を利用する出版社のコンテンツなど、豊富な情報源との検証が可能です。
(Assist micro社 HP)

 

論文盗作問題をニュースでよく見かけるようになってきた昨今ですが、他人事ではなくなってきている模様。これまで自分が勉強してきた知識を論文としてまとめる中で、どこまで引用をつけなければいけなくて、どこからが盗作になってしまうのか、ということははっきりとわかっていない。というか、そういう教育って特になかったなぁ。まぁ、潔白な論文を出せるいい機会と考えて、いろいろ調べてみた。。。

 

盗作とオリジナルの境界ってどこ!???  

どの程度の文章が盗作として問題になっているのか。教授ともあろう人が引用先も付けずにもってくるのは考えにくいが。。盗作が社会問題化しているお隣の国韓国の盗作問題の記事に、主なからくりが書いてあった。

 

韓国社会をむしばむ「盗作不感症」

論文の盗作が明らかになったスター講師の金美敬(キム・ミギョン)氏は、修士号取得者の間で広く用いられている典型的な方法で盗作を行った。似たようなテーマで書かれた2-4年前の論文から、古い論文を引用した文章や段落をそのまま書き写すことで、あたかも古い論文を直接参照して書いたかのように偽装するという手口だ。直接の盗用対象となった中間段階の論文の存在を知らなければ、当の論文は古い論文を参照し、きちんとした方法で書かれたもののように見える。しかし中間段階の論文の文章・脚注・引用までそのまま書き写しているのだから、この論文は明らかな盗作だ。金氏は、ある地方大学の教授が1995年に発表した研究論文を書き写すと同時に、その論文を引用した2003年と04年の修士学位論文もそのまま書き写して利用した。ある大学関係者は「アンケート調査、統計などデータだけをこっそり入れ替え、幾つかの論文を巧みにつぎはぎする手法は、主に論文代筆業者の間で用いられる手。特に、社会人生活を送りながら大学院に通う場合、一種の“論文コピー工場”といえる代筆業者に論文を任せるケースが多い」と語った。

(2013/03/22 朝鮮日報)

 

なーるほど、近年書かれた論文の引用個所をコピペして、あたかも該当の文献を読んでいるかのように偽装する手口ですか。まぁ、たしかに使っている人多そう。。。

 

肝心の盗作検査はどのようにして行われているのか

では、盗用対策はどのように行われているのか。調べてみると、米国では70%以上、英国は90%以上の大学(ともに上位100位以内)が、すでに"Turnitin"という盗作チェックプログラムが導入されているとか。

 

盗作検知・文章作成指導ツール Turnitin

240億以上のWebページ、3億件以上の提出済み学生レポート、何千もの学術誌や書籍類…幅広い情報を網羅する独自のデータベースと、学生が提出した論文やレポートの文章を照合し、その類似性をすばやく表示します。不適切なコピペや盗用が疑われる箇所はハイライトされ、類似している既存情報自体もあわせて確認できるため、使用方法が正当かどうかをすぐにチェック可能です。問題がある場合は適切な引用方法などを指導して、学生の意識やスキルの向上につなげられます。

(Assist micro社 HP)

 

米国、英国ではすでに学生レポート段階から、盗用対策が整備されつつあるようですね。このプログラム、カリフォルニア大学バークレー校の博士課程に在籍する学生が作成したってところも驚き。ネットの発達で情報が簡単に集められるようになった一方で盗用が問題になり、その後各国が盗用対策に乗り出していますが、日本は盗用対策という観点では後進国のようです。今後日本でも導入大学が増えていくのでしょうね。

 

盗作検査の対策は何かないのか!??

となると、自分のこれまで書いてきた論文が、どの程度ツールに引っかかるのか気になるところ。いろいろ調べてみると、これまたお隣の国韓国で無料の盗作チェックサービスがありました(日本では見つかりませんでした)。その名も"Copy killer"。

Copykiller (韓国語のサイトです。翻訳しながら使うといいかも)

会員登録のみで利用無料。pdfをアップロードすれば、その文章がどの程度過去の文献とかぶっているのか、数字でたたき出し、さらに該当文とその対応文献を調べてくれるという優れもの。しかも、完全一致から似ている文章まで程度別にも分けてくれます。ためしに自分の博士論文をかけてみると、、、

  

20%超えてました。。。引用文献を書き並べたページがかぶるのは仕方ないとして、式の導出のページが真っ赤っか。上検索対処に先輩の博士論文が入っていたのが致命傷でした。参考にしている物が同じだからなそりゃぁ似るでしょうよ。ちゃんと引用先も明示してるんですけどね。

 

導出を自分なりにまとめ直したら一桁におさまりました。残りはほぼ引用文献です。すべて自分の言葉でまとめ直した方がいいのか、引用はそのままがいいのかは結局正直よくわかりませんでした。引用先を明示しないのが盗作になることは確かです。

 

盗作が問題視され初めて間もない昨今、罪の意識なく盗作を行ってしまっているのが一番怖い。論文は電子版として一生残り、どこからでも見ることが出来るようになっている。後になっていちゃもんつけられないよう、論文を書き終わった後に問題がないか今一度じっくり見直す必要がありそうです。日本もしっかりした講義をはやいとこ整備してほしいですね。